本研究は、CO2の排出量を削減することを目的として、メタン生成菌等が活動する 堆積盆にCO2を注入し、メタン資源に変換して回収するために必要な基盤技術について検 討するものである。
メタンを胚胎する堆積盆の帯水層中にCO2を注入し、メタン生成菌の活動によりメタン 等の天然ガスに変換する。天然ガスは、天盤シール層により帯水層上部に集積させて回収
する。天然の地質環境条件を利用してCO2をメタンガスに変換して回収する技術であるこ とから、立地上の社会的問題は比較的小さく、速やかな実用化が期待できる。
CO2注入−メタン回収システム概念図
地中メタン生成機構の微生物学的解析として、琵琶湖のメタン胚胎層からサンプリングした土壌を対象に、DNA の抽出とDGGE 法を用いた種々の深度における菌相のバンドパターンに基づく比較、さらにバンドの塩基配列解析による培養に依存しない菌相解析を行った。この結果、メタン 胚胎層にメタン生成アーキアや、メタンハイドレートを含む深海底泥などの深度地下から見つかっているアーキアが存在することが示された。この結果はメタン 胚胎層においてメタン生成菌がメタンを生産していることを支持した。
CO2圧入-メタン採取システムに必要な要件について検討を行った。その結果、シール層の特性として破過圧が高いこと、及び 破過後に水分飽和度が低下しても比透気係数がすぐに大きくならない空隙径分布を有することが重要であることが明らかになった。また、移流の極めて小さい貯 留層を選定するとともに、メタン生成菌の微生物学的特性を調査し、移流や拡散によるフラックス以上のメタンの変換速度を確保していくことが必要と考えられ た。
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