コリネ型細菌の遺伝子の機能と発現制御機構の解析
代謝工学的改変手法によるバイオプロセスの開発には、原料とする糖類から目的化合物生成に至る代謝経路の構築・強化だけでなく、酸化還元バランスの調整や生産物(代謝中間産物)毒性に対する耐性強化など、細胞内・外の環境変化に対する頑健性を向上させることが求められます。このため、宿主微生物における糖代謝系、エネルギー生成系、補酵素再生系などの代謝制御機構に加え、各種ストレス(酸化・還元ストレス、酸・アルカリストレス、熱ストレス、浸透圧ストレスなど)応答制御機構を包括的に理解することが極めて重要です。このゲノムワイドな遺伝子発現制御ネットワークの理解は代謝工学的改変手法における遺伝子発現レベルの最適化技術の基盤として不可欠です。
当研究グループでは、アミノ酸生産菌として古くから工業利用されてきたコリネ型細菌を宿主として、バイオ燃料・グリーン化学品生産技術の開発に取り組んでいます。その基盤として、本菌のゲノム情報に基づき、物質代謝や細胞複製に関与する様々な遺伝子の機能と発現制御機構の解析を行ってきました。遺伝子発現制御因子の活性化機構を明らかにし、また、その欠損/活性化の影響をゲノムワイドに解析することにより、本菌のユニークな遺伝子発現制御ネットワークが見えてきます。