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CCS実施による発電・製品製造コストへの影響

  • Q発電でCCSを行うと発電コストが高くなるのではないですか?

    A

    火力発電所にCCSを付加すると、設備面でも運用面でも、その分のコストが上昇します。ただし、その費用増分を考慮しても、太陽光発電、風力発電など、他の脱炭素電源と比較して、遜色ない発電コストになります(※1)。
    さらに、CCS付火力発電は脱炭素化を図りつつ、発電量を自在に制御できる特長があります。そのため、電力需要や自然エネルギーによる発電量の変動を吸収でき、我が国の電力の安定供給にも貢献するという大きな価値があります。


    (解説)

    (※1)

    • ・建設時期が新しい火力発電所については、CCS設備・運用に係る追加コストのみで(発電所新設コストは不要)長期運用が可能な脱炭素電源となり、太陽光や風力発電の新設に比べてコスト的に遜色ないレベルになります。
    • ・老朽火力発電所については、将来、CCS付火力発電所に建て替えるか、他の脱炭素電源にするかは、経済性分析も含めた総合的な評価が必要と考えられます。
  • Q工場でCCSを行うと製品製造費用が上昇するのではないですか?

    A

    CCSを付加すればその分コストがかかりますが、大規模で高温の燃焼や、化学反応プロセスには、化石燃料の利用が必要であり、その脱炭素化にはCCSの利用が不可欠です。また、世界でカーボンニュートラル化が進むと、二酸化炭素(CO2)排出につながった工業製品には、輸入時に課税強化するなどの動きとなることも想定されます(※1)。例えば、EUは「炭素国境調整措置」として鉄鋼やセメントなど炭素排出量の多い輸入製品に対しては、2026年よりCO2排出量に応じて課税することになっています(日本貿易振興機構, 2024)。
    そのため、CCSを低コストで実現し、工業製品の価格上昇を抑えつつ、カーボンニュートラルの製品を提供することが、我が国の国際競争力を高めるために重要となります。その手段として、回収、輸送、貯留それぞれの分野でコストダウンに係る技術開発を進める一方、CCS構成の工夫でシステム全体として低コスト化を図る手法の研究や、CCSを普及させるための様々な支援制度の検討も行われています。


    (解説)

    (※1)

    • ・CO2を始めとする温室効果ガスの排出量に応じて負担を求める仕組みはカーボンプライシングといい(有村, 2022)、既に導入されている国があります(資源エネルギー庁HPa)。
    • ・カーボンプライシングの一つである排出量取引制度は日本でも東京都と埼玉県で既に導入されており(有村, 2022)、2026年度から全国で本格的に開始することになっています(資源エネルギー庁HPb


    参考文献

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