参考資料(地球温暖化、二酸化炭素(CO₂))
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Q地球温暖化はどのくらい進んでいるのですか?
A最近の世界の平均気温は100年前に比べて1℃高くなりました(※1)。地球温暖化により、世界中で集中豪雨や干ばつ等の異常気象がみられるなど自然災害が甚大化し、また気温や海水温の上昇によって生態系に損失が出ている(※2)と言われています(IPCC, 2023)(※3)。また、世界気象機関(WMO:ダブリューエムオー)によると、異常気象などにより1970年~2021年の間に4.3兆ドルもの経済的な損失が生じています。
(解説)
(※1) 近年、地球の平均気温は急激に上昇しています(図1)。
図1 地球の平均気温の変化(観測値と推定値)(文部科学省及び気象庁)
人為起源の要因を考慮しない場合には気温の上昇が起きておらず、地球温暖化は人為的であることが示されています。
(※2) 海面水温の上昇率は世界平均で100年当たり0.61℃です。日本近海は、100年当たり1.28℃の上昇で世界平均よりはるかに高い上昇率になっています(気象庁HP)。この海面水温上昇により、日本近海では生物相が変わり漁獲種や漁獲量が変化したり、以前には見られなかったような豪雨が発生したりしています(美山、2023)。
(※3) 地球温暖化により気候が変動すると自然環境が影響を受け、さらにはその影響が社会経済や人間生活にも及びます。図2には食料分野における影響の連鎖が示されています。図2 食料分野における影響連鎖(図は国立研究開発法人国立環境研究所HPより引用)
参考文献- 気象庁HP.海面水温の長期変化傾向(日本近海).https://www.data.jma.go.jp/kaiyou/data/shindan/a_1/japan_warm/japan_warm.html
- 国立研究開発法人国立環境研究所HP.気候変動による影響の連鎖の可視化に成功‐地球温暖化問題の全体像を人々が理解することに貢献‐.
https://www.nies.go.jp/whatsnew/20190228/20190228.html - 文部科学省及び気象庁. IPCC 第6次評価報告書第1作業部会報告書 政策決定者向け要約 暫定訳(2022年12月22日版)
- 美山透. (2023). 変わりゆく海洋環境: 黒潮大蛇行と温暖化. 消防防災の科学. https://www.bousaihaku.com/wp/wp-content/uploads/2024/03/No.153_40p.pdf
- IPCC (2023). SYNTHESIS REPORT OF THE IPCC SIXTH ASSESSMENT REPORT (AR6). Summary for Policymakers.
- WMO HP. Socioeconomic impacts and benefits.
https://wmo.int/topics/socioeconomic-impacts-and-benefits
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Qなぜ二酸化炭素(CO₂)が地球温暖化の原因になるのですか?
A二酸化炭素(CO2)は温室効果ガスの一つです。大気中の温室効果ガスは、地表から宇宙に放出されるエネルギー(赤外線)を吸収し、一部を地表に向って再放出するため、地球表面温度を上昇させます(※1)。いわば、布団をかけて熱がこもったような状態になります。人為起源の温室効果ガスの中でCO2が最も温暖化への寄与が大きく、地球温暖化の主要因です(※2)(※3)。現在大気中のCO2濃度は増加を続けています(※4)。
(解説)
(※1) 温室効果ガスがない場合は、地球表面は太陽からのエネルギー(日射)を受けるだけですが、温室効果ガスがあると、温室効果ガスが放出するエネルギー(赤外線)も受けることになるので、地表温度が上がります(図1)。
図1 温室効果ガスの効果
①は太陽からの日射、②は地球から放出される赤外線、③は温室効果ガスから放出される赤外線
(※2) 温室効果ガスはCO2以外に、メタン、オゾン、亜酸化窒素、フロンなどがあります。実は、水蒸気が最も温室効果が大きい気体なのですが、人為活動で大気中の濃度が決まるわけではないので、地球温暖化の話をするときには水蒸気を含めないことが多いのです(坂東, 1996)
(※3) 地球温暖化については、弊機構システム研究グループのHPもご参照ください。
https://www.rite.or.jp/system/about-global-warming/
(※4) 大気中のCO2濃度は約0.04%ですが、増加を続けています(図2)。図2 大気中二酸化炭素(CO2)の世界平均濃度の経年変化(気象庁HPより)
ppmは百万分の1を意味し、1ppmが0.0001%です。つまり、400ppmが0.04%です。
参考文献-
気象庁HP:大気中二酸化炭素濃度の経年変化.
https://www.data.jma.go.jp/ghg/kanshi/ghgp/co2_trend.html - 坂東博. (1996). 1. 地球温暖化の原因とメカニズム. 環境技術.
https://doi.org/10.5956/jriet.25.254
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Q二酸化炭素(CO₂)はどのような物質ですか?
ACO2は無味無臭で空気中に0.04%含まれています。空気中で高濃度にならない限り害はなく(※1)、燃えたり爆発したりすることもありません。炭酸ともよばれ飲料に使われるほか、固体のCO2(ドライアイス)は冷却材に使われるなど私たちの生活で有効利用されています。
(解説)
(※1) CO2濃度が5%の状態に長時間いると、呼吸器刺激、めまいなどが生じます。10%では10~15分で昏睡状態になり、20~40%では死亡するとされています(高橋, 1998)。
参考文献- 高橋(1998)二酸化炭素と人体、安全工学、37、352-357