研究体制(技術研究組合とRITE)
CO2地中貯留の実用化に向けて、小規模(pilot-scale)圧入から大規模(large-scale)へのアップスケーリングが重要であり、その過程においては、関連技術検証だけでなく、様々な技術を統合(integration)することにより、事業のコスト削減を図ることも可能となります。そこで技術統合やコスト削減を目指して、2016年4月1日に「二酸化炭素地中貯留技術研究組合」が設立されました。
本技術研究組合は研究実績が豊富なRITEと産業技術総合研究所のほかに実フィールドの技術やノウハウを有する応用地質株式会社、国際石油開発帝石株式会社、石油資源開発株式会社および大成建設株式会社の6者で発足しました。その後、数次にわたって体制を強化し、現在は下記の13企業・団体から構成されており、研究機関と民間企業が持っている知見やノウハウを幅広く結集してCCSの実用化研究を推進していきます。
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■ 二酸化炭素地中貯留技術研究組合の構成企業(2025年7月現在)
・応用地質株式会社________________________________________________________________________________________________________________
本技術研究組合では、(1)国内外サイトにおける大規模CO2圧入・貯留に係る安全管理技術の実用化検討、(2)国内外プロジェクト事例を活用した大規模貯留層の有効圧入・利用技術の実用化検討や事業コスト評価、(3)CCS技術の社会実装に向けての普及条件の整備の課題に取り組んでいます。研究課題の詳細と、組合員の役割を以下に示しています。
研究課題 | |
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(1) |
①光ファイバーを利用したマルチセンサーモニタリング技術の開発 |
②光ファイバー測定に基づく断層の水理的・力学的モデリング、ジオメカニクス解析による断層安定性や健全性のリスク評価 | |
(2) 国内外プロジェクト事例を活用した大規模貯留層の有効圧入・利用技術の実用化検討や事業コスト評価 |
①複数坑井間の水理特性評価および坑井の最適配置 |
②大規模貯留層特性に適したCO2圧入および貯留の多様化検討 | |
③大規模・多様なCCS事業を想定した、事業モデル策定、コスト評価方法の確立とCCS事業化のためのインセンティブ提言 | |
(3) CCS技術の社会実装に向けての普及条件の整備 |
①CCSに対する地元住民の理解促進との連携 |
②CCS国民理解促進、技術事例集更新 | |
③政府間のCCUS協力に即した海外機関との技術連携、国際標準化との整合や日本独自のCCS技術の海外展開など |