化学研究グループの取り組み

化学研究グループでは、CCS(CO2 Capture and Storage)技術の高度化・実用化や、水素エネルギー社会構築に向けた無機膜、膜反応器開発に取り組んでいます。

CCSは、化石燃料の燃焼で発生した温室効果ガスであるCO2(二酸化炭素)を発電所や工場などの発生源から分離・回収し、回収したCO2を地中や海底に貯留・隔離する技術です。CCSコストの約6割程度は排出源からのCO2回収に要すると試算されており、CCSの実用化促進にはCO2分離・回収コストの低減が重要です。

化学研究グループでは、CO2分離回収技術の研究開発を行っており、今までに化学吸収法、膜分離法、吸着法で世界をリードする研究開発成果を上げてきました。

化学吸収法では、分離・回収エネルギーを従来技術に比べ半減を達成し、現在も更なる高性能化学吸収液の開発に取り組んでいます。

膜分離法では、H2(水素)を含む高圧ガスからCO2を選択的に分離・回収する分子ゲート膜で、高圧排ガスから低コストでCO2を回収することを目指しています。デンドリマーを用いる新規な高分子系材料がCO2/H2分離に優れることを見出し、RITEと民間企業3社で技術研究組合を設立し、実用化を目指した膜モジュール、膜分離システムを開発中です。また、ゼオライト分離膜によるCO2分離技術も検討しています。

吸着法では、これまでに蓄積した技術をベースに、CO2高効率回収・低エネルギー消費型の固体吸収材の開発とプロセス評価技術の開発を実施中で、これまでに、RITE液をベースとして低温で脱離性能の良い高性能固体吸収材を開発し、その実現可能性を検証中です。

また、当グループは、CO2排出そのものを削減する技術内容にも取り組んでいます。具体的には、自然エネルギーやバイオマス等の再生可能エネルギー由来のH2を、CO2を排出しないエネルギーとして使用するプロセスの構築を目指しています。その中で必要となる無機系H2分離膜や水素キャリアーからH2を取り出す膜反応器の開発に取り組んでいます。

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