グループリーダーご挨拶

化学研究グループ グループリーダー 余語克則

大気中のCO2平均濃度は2020年には413 ppmにまで達しました。RITEは地域連携の一環として、近隣の奈良先端科学技術大学院大学で連携研究室を担当しており、大学で講義を担当し始めたころは360~370 ppm程度、また、京都議定書において我が国は1990年比で温室効果ガスの排出6%削減の義務を負っていると教えていましたが、現在はカーボンニュートラルの達成と、そのためにネガティブエミッション技術が求められるに至っており、最近、温暖化対策に関わる状況は大きく変化致しました。

化学研究グループではCCUS(Carbon Capture, Utilization & Storage)、カーボンリサイクルに不可欠なCO2分離・回収技術の研究開発を行っております。これまでに化学吸収法、固体吸収法、膜分離法で世界をリードする研究開発成果を上げてまいりました。3種類の分離方法全てにおいて、材料の開発に始まり、加工、システム検討までを一貫して研究開発していることが特徴です。特に化学吸収法はRITEが開発した吸収液が高炉排ガスや石炭火力燃焼排ガスの商用機に採用され、既にCO2分離・回収技術として実用化されています。

今後の脱炭素化に向けた持続可能開発シナリオでは、DACCS(Direct Air Capture with Carbon Storage)、BECCS(Bioenergy with Carbon Capture and Storage)などのネガティブエミッション技術も必要とされています。したがって今後は、大気中からの回収も含め、多様なCO2排出源に適用できる技術開発を進める必要があると考えています。

同時に、カーボンニュートラル社会の構築を目標に、回収したCO2の有用物質への変換技術にも取り組んでまいります。皆様のご協力、ご支援をお願い致します。

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