開発テーマ

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耐水蒸気型化学吸着剤

これまでに我々はメソ細孔シリカの表面へアミノ基を化学修飾し、CO2との親和性を向上させた「耐水蒸気型吸着剤」を開発しています。メソ多孔体は細孔径が2~50nm程度の多孔体であり、マイクロポーラス物質と比較して大きな細孔径と細孔容積を有しているため、比較的大きな分子を多量に細孔内に導入できる可能性があります。すなわち、細孔内を化学修飾する場合、マイクロポーラス物質に比べその自由度が大きくなります。このような材料を利用するメリットとして耐水蒸気性によるプロセスの簡略化と省エネルギー化以外にも、アミンの固体表面への固定化による吸収質の放散防止やハンドリングの容易性などが期待できます(図)。

また、担体はシリカ以外にも種々の組成や細孔構造の異なる物質の合成が可能であり、表面を多様な官能基で修飾、ハイブリッド化が可能です。このように材料設計の自由度が高く、従来にない高いガス吸着・脱離性能の発現を可能とする材料の創出が期待できます。

その中で、グラフト法によりアミンを高密度に修飾したメソ多孔体は水蒸気共存下においても高いCO2吸着性能を有することを明らかとしています。これは、アミンのペアサイトがカルバメートを形成することでCO2を吸着するためであり、この反応は60℃以上では共存水蒸気の影響を受けません。特にトリアミンを担持したMSU-H(TA/MSUH)は水蒸気共存下でゼオライト13Xの水蒸気非共存下でのCO2吸着と同等のCO2吸着性能を示すことを見出しています。この除湿工程の省略/簡略化が達成されるならば、装置のコンパクト化が可能です。現在、本材料は宇宙空間用のCO2除去への適用を検討中です。


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