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イベント情報

開催結果

CCSワークショップ -社会合意へ向けた安全性評価-(2012年1月18日開催)開催結果

 CO2回収・貯留(Carbon Capture and Storage:CCS)は、持続的な経済発展を維持しつつ地球温暖化対策の切り札の1つとして大きな期待を集め、先進国を中心に2020年以降の本格的普及に向けて動いています。我が国においてもCCSプロジェクトは調査事業から実証事業への移行段階にありますが、CCSの実用化、商業化に向けて、安全性、法規制、環境影響などの評価を実施し、一般社会に広く受け入れられなければなりません。
 本ワークショップでは、「社会合意へ向けた安全性評価」をテーマに国内外の専門家の方々に講演していただき、地球環境問題とエネルギー政策に対するCCSの役割やCCS推進に向けた現状と課題について考えていただくことができました。

開催概要

日 時
2012年1月18日(水) 10:30~17:35
会 場
ベルサール汐留 2階ホール(東京都中央区銀座8-21-1 住友不動産汐留浜離宮ビル)
主 催
公益財団法人地球環境産業技術研究機構
共 催
経済産業省
後 援
独立行政法人産業技術総合研究所、財団法人電力中央研究所、Global CCS Institute、
IEA Greenhouse Gas R&D Programme、一般社団法人エネルギー資源学会、日本CCS調査株式会社
参加者数
386名

プログラム

クリックすると講演要旨および講演パワーポイント資料(PDF)をご覧いただけます。

なお、無断転載は固くお断りいたします。



(モデレーター)

東京大学大学院工学系研究科 エネルギー・資源フロンティアセンター

センター長 教授 佐藤 光三


10:30

開会挨拶
RITE理事長 茅 陽一

   
10:40

特別講演1
持続可能なエネルギーシステムにおけるCCSの役割
Role of CCS in Sustainable Energy Future
RITE理事・研究所長 山地 憲治

  持続可能性は21世紀の世界を導くキーワードである。フクシマ原子力事故後、原子力への依存度を減少させる方向で、我が国のエネルギー基本計画は根本的な見直しが進められている。エネルギー基本計画の再構築において、供給安定性、経済性、環境適合性というエネルギー政策の基本目標を達成するために、省エネや再生可能エネルギーの拡大とともに、CCSの役割が注目される。
  講演資料   講演要旨
   
11:15

特別講演2
CCSの実用化と商業化に対する課題
Challenges for practical use and commercialization of CCS
John Gale General Manager, IEAGHG (英国)

  貯留サイトの評価は、回収施設の計画が始まる前に始めるべきである。そのような早期の活動と先行投資により、リスクを大きく削減し、後の費用を大幅に節約できる。しかし、リスクを伴うため、政府は投資額を失う覚悟を決めなければならない。このような活動により、提案された貯留サイトの健全性に対する信頼が醸成される。
  講演資料   講演要旨
   
12:00  昼休憩
   
13:00

講演1
CO2地中貯留: 「実用化に向けて」-サイト選定の課題、そのリスクと不確実性
Geological storage of CO2: “Practicalities” - issues, risks and uncertainties associated with site selection
John Bradshaw CEO, CO2 Geological Storage Solutions (CGSS) (豪州)

  CO2の貯留メカニズムに影響を与える貯留層、シール層の不均質性、貯留層内の流体流動力学、圧力伝達の影響を十分に理解しなければならない。CO2は地中を流動する。CO2が貯留層をゆっくりと移動する場合、CO2を大量にトラップするのに、最も効果的な方法はRGS(residual gas saturation)と呼ばれるプロセスである。
  講演資料   講演要旨
   
14:00

講演2
地中貯留プロジェクトにおけるモニタリング性能
Monitoring Performance of Geological Storage Projects
Sally Benson GCEP Director, Stanford University (米国)

  プロジェクトの性能規準を保証するために必要な検出レベルや、モニタリング技術、圧力遷移測定に関する最近の進展状況、漏洩検出のための地表モニタリングなどを論じ、各アプローチの長所短所を比較した。また、確立されているモニタリング手法、革新的なモニタリング手法の実施例が紹介された。
  講演資料   講演要旨
   
15:00 コーヒーブレイク
   
15:20

講演3
CCSにおける微小振動観測技術開発
Microseismic Monitoring at the CCS fields
RITE CO2貯留研究グループ 副主席研究員 薛 自求

  カナダのWeyburnやフランスのLacqで行われたCO2圧入に伴う微小振動観測事例をレビューした。またRITEでは、日本国内のCO2貯留ポテンシャルサイトが海域に多く分布することを考慮し、繰り返し弾性波探査と微小振動観測がともに実施できる常設OBCシステムを開発している。この常設OBCシステムについて報告がなされた。
  講演資料   講演要旨
   
16:20

講演4
CCS実施を成功に導くステークホルダーの参画:考察と教訓
Stakeholder engagement for successful CCS deployment: Considerations and lessons learned
Peta Ashworth Leader of Science into Society Group(SISG), CSIRO (豪州)

  社会的な反発を最小限に抑えるには、早い段階でパブリック・エンゲージメント(社会の参画)を行うことが重要である。主要な意思決定者、ステークホルダー、地元住民、規制当局、将来の共同実施者の初期段階からの参画が重要であることを示す一方で、(社会の)参画が不足した場合に、プロジェクトにマイナスの結果が生じた例が紹介された。
  講演資料   講演要旨
   
17:20 総括
東京大学大学院工学系研究科
エネルギー・資源フロンティアセンター・センター長 教授 佐藤 光三
 

・各スピーカーからの講演要旨を要約して報告。

・環境問題を「茹で蛙」に例えて、冷水から徐々に温度を上げていきそのまま、茹で上がってしまうか、あるいは途中で気が付いて飛び出していくか(実際に実験すると途中で飛び出すというのが、真実とのこと)。環境問題は現在、温度が徐々に上がっていく過程。人間はいずれ何らかのアクションを起こすことになるが、人間は蛙より賢く、冷静な判断ができるはずである。

・CCSについては地球環境問題を解決する選択肢の一つであり、問題のアイテマイズはできている。また、解決できる部分もあるので、科学者・専門家がステークホルダーに判断できる環境を着実に整えていく必要がある。

   
17:30

閉会挨拶
RITE専務理事 本庄 孝志

   
17:45 ポスターセッションならびに意見交換会
 

ワークショップ参加者の方々に国内外の著名な専門家やRITE研究員との議論の場を提供。約110名の参加があり、情報交換、情報共有ができ、非常に盛況であった。


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