イベント情報
革新的CO2分離回収技術シンポジウム ~地球温暖化防止に貢献する固体吸収材及び膜による分離回収技術の最新動向~(2023年2月13日開催結果)
2023年2月13日(月)、公益財団法人地球環境産業技術研究機構(RITE)および次世代型膜モジュール技術研究組合(MGM組合)※1は、経済産業省(METI)、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の共催のご協力・ご支援を得て、表記の革新的CO2分離回収技術シンポジウムを開催いたしました。伊藤謝恩ホール会場でのリアル聴講とWEB配信でのオンライン聴講を組み合わせたハイブリッド開催としました。会場から106名、Webから773名と多くの方々が参加してくださいました。
冒頭、主催・共催の挨拶が行われ、最初に、RITE理事長 山地が登壇し、CO2分離回収技術がますます重要になっている、加えて、今後はCO2の利用も重要になってくるとの主催者挨拶をしてシンポジウムが始まりました。続いて、METIカーボンリサイクル室長 羽田様、エネルギー・環境イノベーション戦略室長 三輪田様、NEDO環境部長 上原様が順に共催挨拶にご登壇くださいました。羽田様はカーボンリサイクル政策について、三輪田様はムーンショット型研究開発事業について、上原様はNEDOのCO2分離回収技術についてご説明されました。資料を投影しながら国、社会のおかれた状況をとてもわかりやすく解説いただきまして、聴衆の皆様のCO2分離回収技術の重要性への理解がますます深まりました。
講演プログラムがスタートし、まずRITE理事・所長 下田が基調講演で「CDR・CCS技術の位置づけと展望」と題して社会のおかれた状況を丁寧に説明した後、CCSの最前線で開発に挑んでおられるお二人の企業技術者が、それぞれが率いるプロジェクトの開発状況を説明しました。最初に日揮グルーバル株式会社の甲斐様がご登壇され日揮グローバル株式会社のブルーアンモニアへの取組みを講演し、次に、川崎重工業株式会社の安原様が川崎重工業の進めるKCC(kawasaki CO2 Capture)、その舞鶴発電所での実証を講演しました。シンポジウム後のアンケートをみますと、舞鶴発電所での実証試験へ多くの関心が寄せられていました。それだけに限らず、お二人の講演中、Web聴講者から次々と質問が寄せられました。カーボンニュートラルを先導する国内有数2社への聴衆の反響はとても多大でした。Q&Aにて、講師のお二人は、いくつかの質問に対して直接お答えくださいました。当日お答えいただけなかったご質問については、講演後に数日間をかけて電子メールでご回答くださいました。全ての質問にご回答いただいた甲斐様、安原様には大変、感謝申し上げます。日揮ブルーアンモニア、川崎重工KCCが広く社会に広まったものと思います。
休憩をはさんで、RITE化学研究グループグループリーダー 余語とMGM組合技術部長 甲斐がそれぞれ活動報告を行いました。最初に、火力発電所排ガスからのCO2分離回収、Direct Air Capture(DAC)の固体吸収材開発について現状・今後の展望を余語が報告しました。続いて、高圧CO2‐H2混合ガス向けに適したMGM膜の開発状況を甲斐が報告しました。シンポジウム後のアンケートをみますとDACへの関心が高かったようです。それだけに限らず、こちらの2講演へも質問は多く寄せられまして、講演後に数日間をかけて電子メールで回答しました。企業様から自社材料の提案をいただいた事例もありました。両講演を通して、RITE・MGM組合におけるカーボンニュートラルを支える両革新技術の社会実装へ向けた技術の進展を広く聴衆の皆様にご理解いただけたものと思います。
4つの講演後、MGM組合理事長山口が閉会挨拶を行いました。取り組めることは身近にまだまだある、一人ひとりが実践していこうという現実を見つめたご挨拶でした。うなずく聴衆の方々が多くみられました。参加各位への感謝、技術発展への期待を示し、シンポジウムを締めくくりました。
今回のシンポジウムを通してCO2分離回収技術ビックプロジェクトの進展の一端を広く聴衆の皆様へお届けできたと思います。このシンポジウムを契機に、皆様方がCO2分離回収技術への新たな取り組みを開始してくださいましたらシンポジウムを主催した私共としてとても嬉しい限りです。また、RITE、MGM組合のCO2分離回収技術への取り組みについて、皆様方により一層のご理解を賜ったものと思います。RITE、MGM組合では、シンポジウムでいただいたご意見を糧に引き続き研究開発に邁進してまいります。次回の報告までにさらにいっそう研究を進展させてまいります。次回の報告を楽しみにお待ちください。最後に、シンポジウム開催にご協力を賜りました関係各位に、あらためて厚く御礼申し上げます。
※1 次世代型膜モジュール技術研究組合
IGCC等からのCO2分離・回収技術において、CO2分離・回収コストを大幅に低減しうる革新的な技術である分子ゲート膜モジュールの実ガス試験による実用化研究開発を組合員共同で開発することを目的に、2011年2月17日に設立された。2016年度からは、住友化学株式会社および公益財団法人地球環境産業技術研究機構が組合員として研究開発を実施している。
開催概要
- 日 時
- 2023年2月13日(月)13:00~17:00(受付開始12:30)
- 会 場
- 東京大学 伊藤国際学術研究センター 伊藤謝恩ホール
- 主 催
- 公益財団法人地球環境産業技術研究機構、次世代型膜モジュール技術研究組合
- 共 催
- 経済産業省、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
- 後 援
- 日本CCS調査株式会社、Global CCS Institute、公益社団法人新化学技術推進協会、公益財団法人2025年日本国際博覧会協会
- 協 賛
- 一般社団法人日本膜学会、公益社団法人化学工学会、公益社団法人高分子学会、公益社団法人日本化学会
- 参加者数
- 会場参加106名、WEB参加773名
- 参加費
- 無料
プログラム
13:00 開 会
13:00 主催者挨拶
公益財団法人地球環境産業技術研究機構 理事長 山地 憲治
13:05 共催者挨拶
経済産業省 資源エネルギー庁 長官官房 カーボンリサイクル室長 羽田 由美子
13:10 共催者挨拶
経済産業省 産業技術環境局 環境政策課 エネルギー・環境イノベーション戦略室長 三輪田 祐子
13:15 共催者挨拶
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 環境部長 上原 英司
13:20 基調講演
「CDR・CCS技術の位置づけと展望」
公益財団法人地球環境産業技術研究機構 理事・研究所長 下田 吉之
14:00 招待講演➀
「ブルーアンモニア(アンモニア合成+CCS)製造技術」
日揮グローバル株式会社 サステナブルソリューションズ グループマネージャー 甲斐 元崇
14:40 招待講演②(活動報告含)
「川崎重工の二酸化炭素分離回収技術開発」
川崎重工業株式会社 エネルギーソリューション&マリンカンパニー
エネルギーディビジョン パワープラント総括部 総括部長 安原 克樹
15:20 休憩
15:35 活動報告➀
「二酸化炭素固体吸収材の研究開発動向とRITEの取り組み」
公益財団法人地球環境産業技術研究機構 化学研究グループ グループリーダー 余語 克則
16:15 活動報告➁
「二酸化炭素分離膜モジュールの研究開発概要とCO2分離回収技術の海外動向」
次世代型膜モジュール技術研究組合 技術部長 甲斐 照彦
16:50 閉会挨拶
次世代型膜モジュール技術研究組合 理事長 山口 登造
17:00 閉 会
お問合わせ
公益財団法人地球環境産業技術研究機構
化学研究グループ(シンポジウム事務局)
龍治(りょうじ)、菰野(こもの)
Mail:bunrisympo@rite.or.jp
TEL:0774-75-2305