航空分野においても環境負荷低減が急務となっており、CO2排出量削減対策として航空機の電動化や水素の利用が試みられてはいるものの技術的課題が大きく、現行の航空機にそのまま利用可能で再生可能な液体バイオ燃料の普及が不可欠となっています。
ジェット燃料は炭素数C9~C15のノルマルパラフィン、イソパラフィン、シクロパラフィンと芳香族化合物を主成分とする混合物です。これまでに、油脂を水素化処理して製造するHEFA、発酵生産したエタノールやブタノールを化学重合して製造するATJなど7種類のグリーンジェット燃料製造法がASTM Internationalによって認証され、2020年には、当研究グループのバイオブタノール生産技術を用いたバイオジェット燃料もATJ燃料として認証を受けています。しかしこれら認証済みバイオジェット燃料は主にイソパラフィンから構成され、ジェット燃料に必須なシクロパラフィンや芳香族化合物成分が不足していることから、単独では燃料規格を満たさず、石油系ジェット燃料と混合して最大でも50%までの割合でしか使用できません。
当研究グループでは、シクロパラフィンや芳香族化合物も含み、石油系ジェット燃料と混合せずに単独使用も可能な高性能グリーンジェット燃料の開発も目指しています。関連する技術として、C2-C8化合物を連結してジェット燃料サイズのC9-C15分岐鎖・環状ジェット燃料前駆物質を生成できるバイオ触媒の開発や、前駆物質のジェット燃料成分への化学変換の実証などを行っています。
<新規高性能グリーンジェット燃料の開発>