東京農工大学を代表機関とする「炭素循環型社会実現のためのバイオエコノミーイノベーション共創拠点」の形成に参画し、バイオマス燃料生産技術の開発に取り組んでいます。本拠点では、バイオマス生産・変換技術、廃棄物の利用までを総合的に取り込んだバイオエコノミー研究開発を進めるとともに、バイオマスの産業利用を経済性だけでなく、地域の持続性、社会の持続性という観点から捉えなおし、社会の受容性に根ざした新しい炭素循環型社会の価値体系を創造します。
バイオマス燃料生産技術の開発では、究極のエネルギーとして期待される水素を中心的なターゲットとしています。バイオマスは安定した水素の原料として期待されており、バイオマスのガス化や熱分解、水蒸気改質などの熱化学的変換による水素生産技術や微生物による発酵水素生産技術の開発が進められています。しかしながら、日本国内ではバイオマス原料を大量に調達することは難しいため、バイオマス利用技術の社会実装には、バイオマス資源の豊富な東南アジアとの連携が戦略的に重要と考えられます。本研究開発では、中長期的課題として水素生産プロセスの開発を、短中期的課題として液体燃料生産プロセスの開発を行います。そして、東南アジアとの連携による技術実証データに基づき、経済性・環境性・社会受容性を定量的に評価し、社会実装の実現性が高いシステムを選抜します。
バイオマス燃料生産技術の社会実装には生産コストの低減が重要な課題です。また、バイオマス原料の成分は多様であり、その組成は原料の種類によって大きく異なるため、画一的な技術で広範な需要を満たすのは難しく、これらの課題解決には、多様な熱化学及び生物学的変換技術の比較検討に基づく技術の選抜・融合・革新が必要となります。本研究開発では、そのような異分野の技術開発を一体的に進め、地域/原料に合わせた柔軟なバイオマス燃料供給システムの構築・拡張を可能にしていきます。 (本プロジェクトのホームページはこちら)