研究内容

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最先端基盤技術開発

NEDOスマートセル(バイオとデジタルの融合)

最先端バイオ技術の進展により、生物による高効率物質生産技術に基づく新たな市場拡大の期待が高まっています。この分野での競争力強化が急務であるとの機運から、「植物等の生物を用いた高機能品生産技術の開発」(NEDOスマートセルプロジェクト)が2016年に立ち上がりました。当研究グループは初年度から参画し、「高度に機能がデザインされ、機能の発現が制御された生物細胞」いわゆるスマートセルを設計する技術の開発とその技術の有効性検証を行いました。

当研究グループはこのプロジェクトで扱う宿主微生物をコリネ型細菌、生産ターゲットを芳香族化合物の1つであるカテコールと定め、研究開発を進めました。カテコールは産業的な利用価値は高いものの、これまで生物を利用して高濃度生産された例はありませんでした。微生物全般に対して極めて高い毒性を示すことと、糖からの代謝経路のステップ数が多く複雑なことがその原因だと考えられます。また、コリネ型細菌は元来カテコールの生産経路を持っていません。スマートセルプロジェクトで開発する技術(スマートセル設計システム)を活用してコリネ型細菌の代謝経路を適切に改変することで、カテコール生産能の付与と高い生産性を示す生産株を短期間で開発することを目指しました。

プロジェクトに参画している複数の大学、研究所、企業と連携することでスマートセル設計システムの高精度化を図りました。並行してスマートセル設計システムを利用することで生産性向上のための複数の改変提案を受け、それらをコリネ型細菌に反映させることで生産株を育種しました。その結果、カテコールの生産濃度が段階的に向上し、これまで報告されていた世界最高の生産濃度を短期間で大きく上回りました。このような生産株の開発に加え、生産したカテコールを培養液中から連続的に取り除く技術の検討を行いました。その結果、適切なシステムを組むことで長時間連続的に生産可能であることがわかりました。これにより総カテコール生産量を大幅に引き上げることに成功しました。

本プロジェクトは2020年度末に完了し、成果の一部が公開されています。当研究グループが行った技術開発と有効性検証結果はプロジェクトにおける代表的な成果として高く評価されました。

※ RITE News Release 

  香料の原料となるカテコールを微生物で発酵生産する技術の開発に成功 ―スマートセル技術を活用し、世界最高レベルの生産濃度達成―

  https://www.rite.or.jp/news/press_releases/pdf/press20201202.pdf

スマートセル設計システム適用によるカテコール生産性の向上

<スマートセル設計システム適用によるカテコール生産性の向上>

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