当研究グループは府省・分野の枠を超えて基礎研究から実用化・事業化までを見据えた取組を産学官連携で進めるプログラムである戦略的イノベーション創造プログラム(SIP: Cross-ministerial Strategic Innovation Promotion Program, 2018~2022年度)における課題「スマートバイオ産業・農業基盤技術」に参画しており、目標であるバイオとデジタルの融合・データ利活用により生物機能を活用したものづくりによる持続可能な成長社会の実現に向けて研究開発を進めています。
当研究グループが参画する本課題のコンソーシアムの一つ「高機能バイオマテリアル設計・生産技術開発」では、市場が所望する新機能を有するポリマーを、バイオマスなどの安価な原料から生合成されたモノマーを用いて合成することを目標としています。これまでに非常に高い耐熱性を有するポリマーや電池材料となるポリマーの開発を達成しています。これらのポリマーを構成するモノマーの生合成経路を構築するために、当研究グループはモノマー原料の生合成に関わる酵素を対象に酵素機能改変技術の開発並びにその検証を進めています。より具体的には、多数の変異体の酵素活性データを機械学習に供することで、有望な変異の組合せを効率的に抽出する技術や、酵素のアミノ酸配列情報を基に目的機能を有する新規酵素の探索技術について検証しています。これらの技術により、基質特異性の改変や活性の向上を達成しています。さらにコンソーシアム内の連携を強化しモノマー生産株の改良、培養条件の検討に取り組んでいます。
連携コンソーシアムより提供されるバイオマス由来の原料からのモノマーの生産性を高めることで、目的ポリマーのバイオマスからの一貫生産の実証を行います。
<開発モノマー及びポリマー合成とその用途>