プロジェクト

CO₂を用いたメタノール合成における最適システム開発

事業名称: カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/CO₂排出削減・有効利用実用化技術開発/化学品へのCO₂利用技術開発/CO₂を用いたメタノール合成における最適システム開発
委託元: NEDO(JFEスチール株式会社との連名契約)
事業期間: 2021年10月8日~2026年3月31日

事業内容

 CO2有効利用技術は世界各国でCO2削減に効果的であり、盛んに研究開発・実証検討が行われている技術です。一方、CO2の水素化による有効利用は反応により水が生成し、その水が触媒の劣化、反応速度の低下の原因となります。また、多くは発熱反応であり、反応により発生した熱を如何に効率的に除去するかも課題のひとつです。これらの課題を解決すべく、RITEでは膜反応器による高効率かつ省エネルギー型のCO2有効利用技術、特にCO2を原料としたメタノール合成技術の開発を行なっています。
 メタノールは化学品の基幹物質であり、今後需要の拡大が見込まれます。メタノールは、主として天然ガスの水蒸気改質反応から生成する合成ガス(COとH₂の混合ガス)を原料として合成されており、一般的にCu/ZnO系の触媒を用いて、高温・高圧条件下で反応が行われます。しかしながら、メタノール合成は熱力学的には低温・高圧有利の反応系であり、高温域ではワンパスの収率が低く、これは以下の反応式で表されるCO₂を原料としたメタノール合成において顕著です。

 CO2 + 3H₂ ⇄ CH₃OH(メタノール) + H₂O

 この課題を解決する方法のひとつとして、下図に示すような膜反応器の適用が挙げられます。平衡反応であるメタノール合成において生成した水(あるいはメタノール)を反応系外に取り除くことにより反応はメタノール生成側に促進されます。

 

        図 メタノール合成用膜反応器の概略図

 

 RITEではこれまでに、高い水熱安定性と透過分離性能を兼ね備える脱水膜(Si-rich LTA膜)の開発に成功するとともに、その新規脱水膜を適用したメタノール合成膜反応器は従来の触媒充填層型反応器よりも3倍のCO2転化率を示すことを実験的に明らかにしてきました。

 本事業では、高効率なメタノール合成に寄与できる脱水膜(ゼオライト膜)の更なる高性能化及び実用化に向けた長尺膜の均一合成の検討をJFEスチール株式会社と連携して実施しています。

 

  

     図 排ガスからのCO2分離・回収と有効利用(メタノール合成)の全体システム構成

 

 2022年度までに合成条件を精査することにより、長さ方向に対して性能分布のない実用的長さの脱水膜の合成に成功しました。2023年度は実用化を見据えた再現性・量産性の向上を検討すると共に、1 m長の実用的脱水膜を具備した膜反応器のベンチスケール試験を実施し、その有効性を示します。

 

          図 透過分離性能の均一性

 

 

            図 H₂O/MeOH透過分離性能

Back to PageTop