Japanese

English

イベント情報

システム研究グル―プHOME

イベント情報

IIASA-RITE国際シンポジウム2007―地球温暖化の抑止を目指して―

IIASA-RITE国際シンポジウム2007―地球温暖化の抑止を目指して―

開催結果

 IIASA-RITE国際シンポジウムを下記のように開催しました。本シンポジウムでは、RITEで実施している事業の成果を報告するとともに、IIASAをはじめ海外の著名な研究者からの関連研究の報告を行いました。 企業、研究機関、官公庁、大学、その他団体等から約150名が参加し、温暖化の抑止に関して、長期目標、中期目標、エネルギー、技術、排出削減の経済各部門への影響等の側面から活発な議論がなされました。

開催概要

日 時
2007年3月12日(月)11:00~17:00
開催場所
灘尾ホール(東京)
主 催
財団法人地球環境産業技術研究機構(RITE)
国際応用システム分析研究所(IIASA)
IIASA日本委員会
後 援
経済産業省

プログラム

 地球温暖化は人類が直面する今世紀最大の課題といえます。国連気候変動枠組み条約の第2条では究極目的として、大気中の温室効果ガス濃度を気候システムに危険な干渉を与えないレベルに安定化することが謳われているものの、その具体的レベルについてはいまだ明らかになっていません。EUでは、長期目標として平均気温上昇を産業革命前に比して2℃以下とすることとしていますが、はたして、どのような根拠に基づくものでしょうか。

 RITEでは、この長期目標の問題に迫ることを目標の一つに、経済産業省の補助事業として、温暖化の影響の大きさと温暖化の緩和策・緩和コストの双方を総合的に評価して参りました。また、この評価結果をもとにした、複数の専門家による望ましい大気中濃度安定化レベルの判断についての調査も行いました。本シンポジウムは、この事業(PHOENIXプロジェクト)の成果報告およびIIASAをはじめとする海外からの著名な研究者を招待しての関連研究報告を行うものです。

 各報告者による発表資料が、ダウンロード(PDFファイル)できます。プログラム内の発表標題をクリックして、入手下さい。

11:00

開会挨拶

茅 陽一 RITE研究所長・IIASA日本委員会委員長

11:05

来賓挨拶

伊藤 元 経済産業省 大臣官房審議官(地球環境問題担当)

11:10 "Challenges for IIASA's Interdisciplinary Research"(pdfファイル215KB)
Professor Leen Hordijk, IIASA 所長
〔発表主旨:IIASAのプログラム紹介と、それに関連した問題解決指向のための学際的研究の重要性や成功のための必要条件などを報告。特に強調された点として、複数の学問的アプローチからの取り組みやコンセプト共有の重要性等があげられた。〕
11:35 "Technologies for Stabilizing Climate Change"(pdfファイル2,627KB)
Professor Nebojsa Nakicenovic, Leader, Energy Program, Transition to New Technologies Program, Co-Leader, Greenhouse Gas Initiative, IIASA

〔発表主旨:人間の移動に関して長期的に振り返ると、馬車から乗用車へ変化した時に、移動コストの大幅な引き下げ、乗用車の技術向上と同時に、一人当たり移動距離の指数関数的な増大が同時に起きている。即ち、人々の効用増進は、技術革新と深いつながりがある。ただし、技術は一面で気候変動を引き起こす要因でもある。また同時に、温暖化影響を緩和するために必要な要素でもある。現在、エネルギー関連への投資は減っており、現在120億ドル程度と小さい。革新的なエネルギー技術開発を加速するための投資が重要であるとした。〕

12:10 昼食
13:10 "Interim Targets: Guideposts to Achieving Long-term Climate Change Goals"(pdfファイル409KB)
Dr. Brian C. O'Neill, Leader, Population and Climate Change Program, Co-Leader,Greenhouse Gas Initiative, IIASA
〔発表主旨:京都議定書のような短期目標と、超長期安定化目標の間にはギャップが大きく、例え安定化目標を決定しても、2050年といった中期のCO2排出パスの決定にはつながらない。また、そもそも超長期の安定化目標は、不確実性に対し脆弱である。従って、2050年といった中期的な目標の設定を行うことが望ましい。中期的目標は、より効果的に気候変動速度の危険なリスクを扱うことが可能であり、また近い時点の政策決定によりよい情報を与える。不確実性が狭まり百年スパンの目標が現実的となったときの選択余地を残した設計を可能とする有用な手段であるとした。〕
13:45 RITE PHOENIX プロジェクト(地球温暖化の影響と対策を含めた総合評価)に関する報告
(13:45)

概要と成果(pdfファイル1,226KB)

森 俊介 プロジェクトリーダー RITE

〔発表主旨:PHOENIXプロジェクトの背景、目的および研究概要について報告がなされた。PHOENIXでは温暖化影響と対策の総合的な評価を目的とし、長期的な濃度安定化目標と中短期的な産業構造変化を含む対応方策を評価した。また、モデル等を用いた科学的、定量的な評価を実施し、それを専門家に提示した上で、長期安定化目標に関する専門家の判断の調査も実施した。その結果、総合的に最も好ましい濃度安定化レベルは550 ppmv前後という結論を導いた。〕
(14:20) 産業連関を考慮した排出削減の経済影響とボトルネック経済部門(pdfファイル198KB)
本間 隆嗣 研究員 RITE
〔発表主旨:中短期における地球温暖化緩和の戦略の評価を行うため、2050年頃までの期間の評価が可能な産業構造変化を含む温暖化緩和策評価モデルDEARSを開発した。産業構造を単純化した従来のモデルによる評価では、大きな排出削減を行う場合においてもそれほど急激に大きなGDPロスが生じる結果が導かれなかったが、詳細な産業構造を表現したDEARSモデルによる計算によると、450 ppmv程度まで削減する際には大きなロスが生じる可能性が示唆された。〕

14:50

コーヒーブレイク
(15:10) 温暖化抑制目標に関する国際議論への含意(pdfファイル847KB)
秋元 圭吾 主任研究員 RITE
〔発表主旨:PHOENIXプロジェクトで得られた知見を基に、その政策的な含意についての報告がなされた。長期濃度安定化目標レベルについて、PHOENIXが採用した方法論とその妥当性およびそこから導かれた知見について、Stern Reviewとも比較しながら紹介がなされた。そこでは、費用便益的に考える必要があること、しかし温暖化問題特有の多くの事柄に留意して濃度安定化目標に言及すべきであるとした。〕
15:40 "Energy Implications of Stabilizing Greenhouse Gas Concentrations"(pdfファイル538KB)
Dr. James Edmonds, Laboratory Fellow and Chief Scientist, Pacific Northwest National Laboratory
〔発表主旨:GHG濃度安定化のエネルギー問題への含意と題して、さまざまな技術のポテンシャルについて紹介された。さまざまな技術があるものの、温暖化抑制のためには一つの技術だけでは解決はできない。制度的に解決すべき問題も大きい。〕
16:15 IIASA滞在国内研究者からの報告
(16:15) 革新的エネルギー変換技術の進歩が将来のエネルギー見通しに与える影響分析(pdfファイル133KB)
荒木 智彦 東京電力株式会社 火力部 火力技術グループ 主任
〔発表主旨:新技術の普及、特に燃料電池、水素製造技術の普及は、ラーニング(普及に伴うコストの減少)による促進の効果が大きい。またCO2排出規制により、燃料電池の燃料は石炭から天然ガスへ移行し、石炭を燃料とするIGCCはCO2分離技術を伴って普及する。IGCC用CO2分離が果たす役割は、CO2排出規制達成のために重要である。〕
(16:35) YSSP報告と今後のYSSPに向けて(pdfファイル220KB)
藤森 真一郎 京都大学 大学院 工学研究科 博士課程1回生
〔発表主旨:IIASAプログラムの一つであるYSSP(Young Scientists Summer Program)への参加報告をすると共に、研究領域であるマテリアルフロー勘定・分析について今後の目標が報告された。〕
16:55 閉会挨拶
樋口正治 RITE専務理事

お問合わせ

事務局:
〒619-0292 京都府木津川市木津川台9-2
(財)地球環境産業技術研究機構(RITE) システム研究グループ
TEL: 0774-75-2304  FAX: 0774-75-2317

| イベント情報一覧 |

ページの先頭へ