未来のエネルギー技術
現在、実用化、普及に向けて研究開発中のエネルギー技術もたくさんあります。
とりわけ、地球温暖化の原因とされる二酸化炭素を出さない発電技術の開発はとても重要です。
宇宙太陽光利用システム
宇宙空間の静止軌道上で太陽光を集め、その光をマイクロ波あるいはレーザー光線に変換し、地上もしくは海上に設置した受電施設に送り、電気や水素を作って利用するシステムです。マイクロ波とレーザー光線では、性質も機能も異なるため、どちらの方法で伝送するかまたは両方の技術を組み合わせて伝送するかは、決まっていません。
いずれにしても、太陽光の集光装置が宇宙空間にあるため、地上の気候や昼夜にほとんど関係なく、太陽光を集めることができます。2030年代の商用化を目標に、現在研究が進められています。
核融合発電
核融合とは、二つの原子核を衝突させてくっつける(融合させる)ことであり、太陽で常に起きている現象です。核融合が起こる際にエネルギーが発生し、このエネルギーを発電に利用します。
しかし、核融合を起こすためには、クーロン力を上回って大きな速度(毎秒1000km以上)で原子核をぶつける必要があります。そのため、燃料は1億度以上の温度となります(プラズマを作る)。装置が1億度以上の温度に耐え、核融合反応を持続的に発生させるためには、内部を真空にし、宙に浮いたプラズマを作る必要があります。宙に浮かせる方法として、らせん状の磁力線を使います(磁場閉じ込め核融合方式)。
プラズマ内で核融合反応を起こし、高速中性子のエネルギーをブランケットで熱エネルギーとして取り出します。ブランケット内では同時に、燃料である三重水素を作ります。核融合反応は、燃料の投入やプラズマの自動冷却で止まります。
水素
水素エネルギーは、過去にも何度か脚光を浴びることがありましたが、最近またその注目度が上がっています。
最近、新たな技術として期待されているのが、水素を二次エネルギーとして発電に利用する技術です。 褐炭や天然ガスから水素を取り出し、それを燃料に発電するという発想です。発電技術そのものは既存技術の応用で可能であるため、実現性が期待されています。
水素は、無色、無臭で地球上で最も軽い気体です。燃えやすい性質ですが、水素だけでは発火せず、空気(酸素)と混ざると着火します。着火濃度は幅広く、4%~75%で、酸素1、水素2の割合で混合したときが最も激しく燃焼します。燃えると水のみができ、有害なガスは発生しません。
燃料電池は水の電気分解の逆の、水素と酸素の反応を利用します。
水素は陰極で電子とイオンに分けられます。電解質は電子を通さないので、電子は電解質を通らずに陽極に流れます。これが発電です。酸素は陽極で水素の電子と結びつき、電解質を伝ってきた水素イオンと結合して水になります。
水素は化石燃料や水など様々な原料から製造でき、水素を燃焼させる水素エンジン自動車や、燃料電池自動車、家庭用や業務用でのエネルギー利用が期待されています。
しかし、水素には貯蔵タンク等の材料に侵入して劣化させる性質があるなど貯蔵、その他製造、輸送に関して技術的に多くの課題があり、安全に簡単に水素エネルギーが利用できるように研究が続けられています。