W(ワット)とWh(ワットアワー)の違い
電力においてはWとWhの違いを理解することが大事です。
●W(ワット):消費電力
1000W=1kW(キロワット)
●Wh(ワットアワー)(=W×h):電力量
1000Wh=1kWh(キロワットアワー)
家庭における電力量
家で電気を使用していれば、毎月、電力会社から各家庭に「電気ご使用量のお知らせ」という明細書が届けられます。
ここに載っている「ご使用量」は、kWh単位で表示されていて、1ヶ月で使用した電力量(Wh、kWh)に応じた料金が表示されています。1000Wh(1kWh)の電力量を使用したということは、例えば消費電力1000W(1kW)の家電製品を1時間使用したということを意味します。
※年間点灯時間2000時間と想定 1日平均点灯時間5.5時間 「エネルギーは大切に使われている?」ページの民生部門参照
グラフの推移はイメージです。
※視聴時間4.5時間、待機時間19.5時間で計算。視聴時の消費電力は年間消費電力量から試算。
「エネルギーは大切に使われている?」ページの民生部門参照
グラフの推移はイメージです。
発電所の設備利用率
発電の価値をkWhで考えます。
例えば、定格能力(設備容量)100万kWの原子力発電を、1年間(8,760時間)フルに連続運転した場合の年間発電電力量(kWh)は、87億6000万kWhで、年間設備利用率は100%となります。
しかしながら、実際には発電所は定期点検などで停止する期間があるので、一日も休まずにフル稼働していることはありません。
そこで、実際の年間発電電力量(kWh)を分子に、定格能力kWでフルに連続運転した年間発電量(kWh)を分母に持ってきて、設備利用率(%)として表します。
すなわち、各種発電所設備がどれくらい利用されたか、価値で考えた値を示しています。
(東日本大震災前の日本の原子力発電の設備利用率は、60数%~70%でした。世界平均85%と比べてかなり悪いです。)
原子力発電や石炭発電は、燃料費が安いという経済的な電源運用の原則に基づいて常に稼働し(設備利用率が高い)、石油のような燃料費が高い発電所は、電力需要のピーク時にのみ稼働しています。
しかし、自然エネルギー系の発電の場合はそうはいきません。
屋根の上に、例えば定格能力4kWの太陽電池パネルを設置しても、4kWの出力が出るのは昼間のカンカン照りのときだけで、夜はゼロになります。
日本の場合、太陽電池の年間平均設備利用率は実績で12%ぐらいと、とても小さいです。風力発電なども含め、このような自然エネルギー系発電の設備利用率は、いわずもがな自然条件で決まることになります。
福島第一原子力発電所の定格能力470万kWは、設備利用率85%で年間発電電力量350億kWhです。これを再生可能エネルギーに置き換える、という議論がありますが、太陽電池を定格能力470万kW分を設置しても、実際の電力量(設備利用率12%)は49億4000万kWhにしかなりません。置き換えるには、3300万kW(約7倍)という膨大な設置面積の太陽電池が必要になります。
※年間の発電電力量は、主要メーカーの容量4kW~5kWの太陽光発電システムのカタログ値から試算。
グラフの推移はイメージです。
グラフの推移はイメージです。通常、定期点検等による運転停止期間があります。
電力の需給バランス
kWは、瞬時の電力の単位を表します。
電力の需要が発生したその瞬間における需要量と供給量は、kWでバランスしないといけません。
電力需給は、1~2分でも需給バランスが崩れると、電力の電圧や周波数が変わります。周波数依存で動いている機械はたくさんあって、1Hzでもずれると、運転継続が困難となる機械もあり、例えば繊維産業では製品にむらが発生したりします。
そのため発電所では、季節、天気、温度、曜日、時間など様々な要因で異なる瞬時の電力需要を予測しながら、周波数が一定に保たれるように運転しています。例えば、平日のお昼休み時間は、工場の機械も休憩することが多く電力の需要が減るので、12時前になると発電量を抑制する準備をしながら、出力調整をします。お昼時間が終わる前頃には、また発電量を上げる調整をします。
太陽電池や風力発電のような自然条件で変動する再生可能エネルギーによる電力が大量に供給されると、このような発電所における需給バランスの運転も変動に合わせて調整が増えることを理解しておく必要があります。