地球温暖化対策技術の分析・評価に関する国際連携事業(H29年度~R3年度)(通称:ALPSⅢ)
ALPSプロジェクト(ALternative Pathways toward Sustainable development and climate stabilization)
まとめ
パリ協定は、市場メカニズム関連のルールについても合意がなされ、実施の形態は固まりました。一方、COP26での議論は、パリ協定そのものから、1.5℃目標の合意や、2030年の排出削減目標の深堀、もしくは個別の対策についての合意など、首脳間などでの合意に焦点が移ったと言えます。しかし、COP26終了時に、英国政府が不満を見せたように、実効性を伴って、世界が1.5℃未満の目標を達成できるのか、もしくは、2050年のカーボンニュートラルといった目標が達成できるのか、については大きな不透明性が残ったままと言えます。確かに、ここ1年あまりの急速な気候変動対応強化への国際的な高まりは見られ、特にファイナンス部門を介した経済界への対応強化の要請も強まり、大きな進展が見られます。一方で、COVID-19、化石燃料価格の急騰、国際的な紛争のリスクなどが、気候変動対応にどのような影響を及ぼすかについても注視が必要です。国際的な公式の場での意欲的な目標に、実行が伴うものかは、見極めが必要です。いずれにしても、技術、社会のイノベーションがなければ、世界排出量の大幅な削減、そしてカーボンニュートラル化はあり得ません。広範なイノベーションを誘発する良い経済社会環境を整えることが重要と考えられます。意欲的な目標だけでは長い気候変動との闘いを継続できず、真に実効ある気候変動対策のためには、地球温暖化対策と経済成長の両立は不可欠です。単なる希望を語るのではなく、着実かつ、「グリーン成長」もしくは「環境と経済の好循環」を具体的に実現し得る適切な対策・方策を明確にすることが求められています。また、多くの不確実性が存在する中で、リスクを総合的により良くマネージメントする戦略が求められます。広範で、深い分析、洞察が必要なため、今後、更なる調査、分析・評価を行っていく必要があるが、本事業での調査研究によって、真に「グリーン成長」を実現していく道筋のフレームワークとその具体的対策・方策の提示を行い、そしてその定量的な分析・評価も実施できたものと考えられます。