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研究内容(プロジェクト)

地球温暖化対策技術の分析・評価に関する国際連携事業(R4年度~)(通称:ALPS Ⅳ)

ALPSプロジェクト(ALternative Pathways toward Sustainable development and climate stabilization)

まとめ

パリ協定は、世界すべての国が排出削減に取り組む仕組みとして出来上がったものの、現状では、世界各国がその目標を実現するためのCO2限界削減費用には大きな差異が見られます。これは、CO2排出原単位の高い産業を中心に産業の国間の移転を誘発し、世界全体での排出削減効果を大きく減じるリスクがあります。欧州は、このリスクを減じるため、炭素国境調整税の導入を目指しているが、本事業での分析からもその効果は一定程度あるものの、効果は限定的とも見られます。確かに、急速な気候変動対応強化への国際的な高まりは見られ、特にファイナンス部門を介した経済界への対応強化の要請も強まり、大きな進展が見られます。一方で、COVID-19、化石燃料価格の急騰、国際的な紛争のリスクなどが、気候変動対応にどのような影響を及ぼすかについても注視が必要です。化石燃料価格の高騰は、化石燃料生産企業の収益を大きくしてきています。これは、ここ数年の脱化石燃料のファイナンスの流れも変える可能性もあります。いずれにしても、技術、社会のイノベーションがなければ、世界排出量の大幅な削減、そしてカーボンニュートラル化はあり得ません。広範なイノベーションを誘発する良い経済社会環境を整えることが重要と考えられます。意欲的な目標だけでは長い気候変動との闘いを継続できず、真に実効ある気候変動対策のためには、地球温暖化対策と経済成長の両立は不可欠です。単なる希望を語るのではなく、着実かつ、「グリーン成長」もしくは「経済と環境の好循環」を具体的に実現し得る適切な対策・方策を明確にすることが求められています。また、多くの不確実性が存在する中で、リスクを総合的により良くマネージメントする戦略が求められます。広範で、深い分析、洞察が必要なため、今後、更なる調査、分析・評価を行っていく必要があるが、本年度の調査研究によって、真に「グリーン成長」を実現していく道筋のフレームワークとその具体的対策・方策の提示を行い、そしてその定量的な分析・評価も実施できたものと考えられます。

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