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研究内容(プロジェクト)

技術革新によるエネルギー需要変化に関するモデル比較国際連携事業 (H31/R1年度~) (通称: EDITS)

「技術革新によるエネルギー需要変化に関するモデル比較国際連携事業」通称EDITS (Energy Demand changes Induced by Technological and Social innovations)

低エネルギー需要社会実現の機会を特定し、それを具体的かつ定量的なシナリオとして提示することで、社会における変化を誘導することを目的としています。技術革新がもたらすCO2排出量削減やエネルギー需要の変化についての総合的な分析を行うとともに、海外の主要研究機関との比較研究を行いながら、IPCC報告書等へのインプットを行っています。

EDITS ネットワークは、さまざまな分野の専門家が集まり、多面的なエネルギー需要研究について定期的に議論し、関与しています。 EDITS コミュニティは、相互に関連するトピックへの共通の関心、方法論的知識の伝達、および需要側モデル全体でのモデリングの革新の探求に基づいて協力しています。

目的と概要

EDITS事業では、大きく以下の3点を目的としています。

  • 1) エネルギー需要サイドに焦点を置いた、国際的な研究コミュニティの構築を行う。エネルギー需要サイドに関する、最新のデータやコンセプト、方法論、政策分析の共有を行う。それらを通して研究と政策分析の議論を深め、相互充実化を促進する。
  • 2) 方法論やモデルの国際比較を通して、環境や気候政策分析に関する最先端の需要モデルを進展させる。また、学問分野横断的、エネルギー分野横断的、環境の領域横断的に、コンセプトと方法論を進展させ、また、それを広く国際的に展開する。
  • 3) 構造化されたモデル実験とシミュレーションを通して、より良い政策提言を行う。特にデジタル化、シェアリングエコノミー、SDGs と気候目標との統合に相乗効果を有する政策立案のような、新しい分野やサービス供給を扱うモデルを構築、活用し、需要サイドの政策の潜在的インパクトや障壁、そして他SDGs 目標とのシナジーおよびトレードオフを含めた評価を行う。

また、以下のようなテーマを設定し、それに対応した作業部会(WG)を設けて国際応用システム分析研究所(IIASA)の協力を得て研究を実施しています。また、4半期毎に1回の会合と年次会議を1回開催しています。参加者はEDITSメンバーに登録された研究者で、多くのIPCC執筆者が含まれています。

  • WG1-Industry
    [主な課題] 産業部門モデル間の比較(理論、地理的/時間的/生物物理学的カバレッジ、データの利用可能性、手法等における相違の把握)、マテリアル効率性の効果等
  • WG1-Buildings
    [主な課題] 建築部門モデル間の比較(地域差、異質性)、シェアリングエコノミーの効果及びスマートワーキングが商業建築部門に与える影響等
  • WG1-Transport
    [主な課題] 運輸部門モデルの比較(活動タイプ(旅客/貨物)、ロケーション(都市型/非都市型)、車両サイズ、モードの相違 等)
  • WG2-Data
    [主な課題] 需要側のミクロデータ収集及び共有
  • WG3-Narratives
    [主な課題] 1.5℃目標及びSDGs目標に沿った低エネルギー・マテリアル需要に関する定性的シナリオ構築
  • WG3-Protocol
    [主な課題] モデル間の比較分析の実施(各モデルの特徴を活かしたモデル分析比較)
  • WG3-Synthesis
    [主な課題] 定性的シナリオに沿った評価フレームワークの開発(厚生及び実行可能性評価) 等
    部門横断的なテーマとしては、特に、デジタル化、衡平性、ライフスタイル・行動変容、ビジネスモデル、理論構築に焦点を当てている。
  • WG4-Wellbeing
    2023年4月に結成。

エネルギー需要側は様々な部門にまたがっており、また国によっても多様であるため、上記のテーマを遂行するにあたって、表1に示すように多くの国・地域から多くの専門分野の研究者の参画を得て、EDITS事業を推進しています。

EDITS事業では、次期IPCC報告書への貢献や、各国政府や企業などのエネルギー需要側対策の推進につながる研究成果を提供していきます。EDITSで主たる対象と考えているエネルギー需要側対策は、直接的にエネルギーやCO2を削減するよりも、デジタル化技術等の進展を通して、製品やサービスを変化、最適化することで間接的にエネルギー、CO2を削減するものです。よって、政府や社会も直接的な理解はしにくく、対応が遅れる可能性もあります。そのため、本事業では、複雑なシステムをよく理解できる形にし、また定量的に見える形にして、政府、企業、社会に発信していきます。

表1: 主な協力研究機関
2023年度時点
Asian Institute of Technology (AIT)タイ
Central European University (CEU)ハンガリー
École polytechnique fédérale de Lausanne (EPFL) スイス
Fondazione Centro Euro-Mediterraneo sui Cambiamenti Climatici (CMCC)イタリア
International Institute for Applied Systems Analysis (IIASA)オーストリア
International Transport Forum-Organisation for Economic Co-operation and Development (ITF-OECD) フランス
Iscte - University Institute of Lisbonポルトガル
Lawrence Berkeley National Labs (LBNL)アメリカ
Osaka University日本
OpenEXPフランス
Stanford Universityアメリカ
Tsinghua University中国
Universidade Federal Do Rio De Janeiro (UFRJ)ブラジル
University of California, Santa Barbara (UCSB)アメリカ
University of Groningenオランダ
University of Natural Resources & Life Sciences, Vienna (BOKU)オーストリア
University of Oxfordイギリス
University of Plymouthイギリス
University of Tokyo日本
University of Wisconsinアメリカ
Utrecht Universityオランダ
Yonsei University韓国

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