「地球再生計画」の実施計画作成に関する調査事業
統合評価モデルDNE21-エネルギーシステムモデルの構造と前提条件
エネルギーシステムモデルの構造
エネルギー供給サイド、CO2分離回収・貯留隔離技術については、各種技術を「ボトムアップ」的にモデル化
→ 拡大図
図中の一部の部分については、その前提条件例が見られます。
エネルギーシステムモデルの前提条件
エネルギー資源量・供給コストの想定
化石燃料資源量・生産コストの想定
想定した化石燃料資源量
在来型 | 非在来型 | ||
---|---|---|---|
確認回収可能埋蔵量 | その他推定埋蔵量 | ||
石油 | 150 | 145 | 2,343 |
天然ガス | 129 | 265 | 19,306 |
石炭 | 褐炭 | ||
石炭 | 5,646 | 599 |
単位: Gtoe(石油換算10億トン)、出所:H-H.Rogner, 1997
累積生産量の増大に伴い、生産コストが増大するものと想定しています。
再生可能エネルギー資源量・供給コストの想定
エネルギー・CO2輸送コストの想定
天然ガスや水素、CO2の輸送コストは、高いものとなります。特にパイプラインでの輸送コストは、輸送距離に大きく依存します。
エネルギー変換効率・設備コストの想定
発電コストの想定
建設単価($/kW) | |||
---|---|---|---|
2000年 | 2030年 | 2100年 | |
天然ガス | 500 - 1060 | 500 - 780 | 500 |
石油 | 270 - 410 | 270 - 350 | 270 |
石炭(脱硫装置付) | 970 - 2050 | 1010 - 1550 | 1050 |
CO2回収装置付石炭ガス化複合発電 | 1240 - 2170 | 1260 - 1770 | 1300 |
バイオマス | 1230 | 1000 | 1000 |
メタノール | 1200 | 900 | 600 |
水素 | 1100 | 800 | 500 |
原子力 | 1790 - 2620 | 1840 - 2260 | 1900 |
電力貯蔵(揚水) | 1000 - 1500 | 1000 - 1300 | 1000 |
発電単価($/MWh) | |||
2000年 | 2030年 | 2100年 | |
水力・地熱 | 10 - 180 | 10 - 180 | 10 - 180 |
風力 | 70 - 340 | 52 - 251 | 42 - 206 |
太陽光 | 235 - 469 | 83 - 166 | 42 - 83 |
注)建設単価、発電単価の幅は、モデルの10地域分割における差異もしくは地域内におけるコスト分布に依っています。
出所)NEA/IEA, “Projected Costs of Generating Electricity: Update 1998”, OECD, 1998. など
発電効率の想定
2000年 | 2030年 | 2050年 | 2100年 | |
---|---|---|---|---|
天然ガス | 47.0 | 54.8 | 60.0 | 65.0 |
石油 | 36.0 | 46.4 | 49.0 | 49.0 |
石炭(脱硫装置付) | 40.7 | 46.3 | 50.0 | 55.0 |
CO2回収装置付石炭ガス化複合発電 | 36.0 | 42.6 | 47.0 | 52.0 |
バイオマス | 24.1 | 40.6 | 45.0 | 45.0 |
メタノール | 44.9 | 51.6 | 55.0 | 60.0 |
水素 | 51.4 | 54.1 | 55.9 | 65.0 |
電力貯蔵(揚水) | 70.0 | 75.0 | 75.0 | 75.0 |
注)単位:低位発熱量基準%。CO2回収装置付石炭ガス化複合発電の発電効率にはCO2回収に伴うエネルギー損失を含めています。
世界地域別に想定を行っているが、ここで示している効率は、日本に対するシナリオです。
各種化学プラントの諸特性の想定
エネルギー変換プロセス | 建設単価 ($/(toe/day)) | 稼働率(%) | 変換効率(%) |
---|---|---|---|
石炭ガス化 | 203,000 | 90 | 61 |
天然ガス分解 | 164,000 | 90 | 76 |
バイオマスガス化 | 193,000 | 90 | 52 |
シフト反応 | 14,000 | 90 | 99 |
メタノール合成 (COから) | 113,000 | 90 | 62 |
メタノール合成 (CO2から) | 126,000 | 90 | 62 |
メタン合成 | 112,000 | 90 | 77 |
水電気分解 | 223,000 | 90 | 80-90 |
石油精製 | 29,000 | 70 | 95 |
ガソリン精製 | 42,000 | 70 | 90 |
石炭液化 | 200,000 | 90 | 67 |
バイオマス液化 | 230,000 | 90 | 75 |
メタノールのガソリン化 | 46,000 | 70 | 93 |
注)変換効率は、発電効率を33%と仮定したときの値です。また、水電気分解の変換効率は、時点が経るに伴って向上するものと想定しています。
CO2回収効率・設備コストの想定
建設単価 ($/(tC/day)) |
エネルギー損失 (MWh/tC) |
CO2回収率(%) | |
---|---|---|---|
発電所排ガスからの化学吸収 | 56,500 | 0.927 - 0.719 | 90 |
ガス化プラントにおける物理吸収 | 14,500 | 0.902 - 0.496 | 90 |
注)エネルギー損失は、表の数値の範囲内で、時点の経過と共に減少すると想定しています。
CO2貯留可能容量・貯留コストの想定
最終エネルギー需要推移シナリオの想定
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の「排出シナリオに関する特別報告書(SRES)」のB2シナリオにおけるGDP当たり最終エネルギー需要(燃料種別)の成長率を利用しています。この成長率と国内総生産(GDP)シナリオより、10地域別の最終エネルギー需要(燃料種別)シナリオを作成し、モデルの前提条件としています。
なお、ここでの最終エネルギー需要の想定は、「リファレンスケース」における需要であり、温暖化抑制政策やCO2排出抑制政策をとったとした場合の分析では、モデルによって最終エネルギー需要の変化が計算されます。
地域別の最終エネルギー需要想定
燃料種別の最終エネルギー需要想定
世界と日本の最終エネルギー需要成長率の想定値(%/年)
1980-2000年 | 2000-2020年 | 2020-2050年 | 2050-2100年 | |
---|---|---|---|---|
世界全体 | 1.4 | 1.8 | 1.6 | 0.8 |
日本 | 2.0 | 0.6 | -0.3 | -0.7 |