二酸化炭素地中貯留に関するシステム研究
二酸化炭素(CO2)地中貯留の概要
二酸化炭素(CO2)地中貯留とは、CO2固定発生源からCO2を回収して地層へ封じ込める技術です。大規模CO2発生源には火力発電所、製鉄所、セメント工場等があります。
CO2地中貯留は、地球温暖化防止対策の一つとして有力視されており、近年世界の多数の国で研究開発が実施されています。
RITE(システム研究グループ)によるDNE21モデルを用いた分析では、省エネルギーや自然エネルギー利用に加え、CO2地中貯留などの貯留技術の併用が経済的なCO2排出削減に必須であることを示しています。
地下1000m程度の深さにある帯水層へCO2を封じ込めます。
帯水層は、海底の砂が地下深部に埋もれてできたため、砂の粒子の間には地層水で満たされた空隙が多く存在します。地層水は元の海水から変化したものであり、化石海水とも呼ばれています。帯水層に圧入されたCO2は、地層水を押し退けながら徐々に広がっていくと考えられています。その広がりは、帯水層の孔隙率(岩石全体に対する岩石内の気体と液体が占める割合)と浸透率(岩石中の孔隙を流れるときの気体や液体の通しやすさ)に依存します。
帯水層の上部にキャップロック(帽岩)と呼ばれる浸透率の極めて小さい地層が存在することにより、帯水層に圧入されたCO2を長期間にわたり封じ込めることができます。
一般的にキャップロックは粒子が小さく、組織が緻密にできている泥岩や頁岩からなります。
石油や天然ガスは、これとほぼ同様の地質構造によって、長期間にわたって蓄えられてきています。
石油や天然ガスの開発で蓄積された技術の多くはCO2地中貯留技術にも利用できます。
石油・天然ガスを採掘する場合は、地下深部からのものを取り出す生産井(せいさんせい)が掘削され、CO2地中貯留では地下へCO2を圧入する圧入井が掘削されることになります。
CO2地中貯留は、地球温暖化対策の一つとして担う役割は大きいのですが、他のほとんど全ての技術と同様にリスクが皆無というわけではありません。
例えば、地中に貯留したCO2の一部が大気に戻るリスクが全く無いとは言い切れません。そのため、CO2圧入中や圧入後のCO2の挙動を予測し、その影響を評価することが重要です。 これまでの内外の研究では、たとえCO2が大気中に戻ることがあったとしても、非常に緩やかであり、一気に噴出して気候の大変動が起きることは無いと考えられていますが、更なる研究を計画しています。