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安全評価関連調査
目的
安全評価関連調査では、CO2地中貯留技術の実用化に当たっての、社会的受容性を高めるために安全面での評価を行います。ここでは、安全評価と安全ガイドラインに関する調査及び検討を実施し、将来の実証試験や実適用に資する知見を蓄積しました。
移行量定量化の知見
圧入CO2の移行影響の定量的評価では、地質、地形データが十分に整備されていないこともあり、通常では起こり得ない極端なシナリオでの影響を推算しました。該当シナリオとして以下のものを設定し、いずれの場合も移行量は極めて少量であることを確認しました。
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CO2を圧入した坑井を封鎖する際の坑井セメントプラグが劣化 |
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坑井セメントプラグの劣化に関する評価
網羅的移行シナリオ抽出手法の知見
安全評価に当たっては、重要リスク要因を網羅的に抽出する手法が求められます。このようなリスク要因抽出手法の調査を行い、優れた網羅性によって海外で有力視された手法であるFEP(Feature:特性、Event:事象、Process:プロセス)を導入しました。海外から導入したFEPに我が国の特有事象を追加し、抽出機能を向上させ、適用性を検証しました。これを用いて構造性仮想サイトを対象に重要なリスク要因とそのシナリオを抽出した結果、カテゴリーAの仮想サイトにおける重要なリスク要因として以下のものが抽出されました。
Weyburn、Sleipnerプロジェクトの知見
実規模で先行するWeyburn(カナダ)、Sleipner(ノルウェー)プロジェクトの規範では、安全面を含む管理体系構築に向けた取り組み中途にあり、各々が建設・操業の参考に使用した天然ガス等地中貯留関連規格等から、 観測井(ケーシング含む゙)・圧入井への要求事項、緊急遮断システムの設置、井戸・貯留層モニタリングの実施、廃棄用プラグ゙への要求事項等、35項目に集約・分類しました。
類似事例 - LPG地下岩盤貯槽等の知見
LPG地下岩盤貯槽の技術基準等より、漏洩を防止する措置及び漏洩時の遮断措置、リスク評価の設計への反映を抽出しました。また、高レベル放射性廃棄物処分安全規則の考え方より、サイト選定要件を抽出しました。
成果
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極端な事象として大規模断層、地層水流及び坑井セメント劣化に伴う移行を想定しても、大きな影響を及ぼさないことを確認しました。 |
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網羅的な移行シナリオ抽出手法として、 FEPデータベースの適用性を確認しました。 |
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海外プロジェクトにおいて参考に使用した天然ガス等地中貯留規格より主要管理項目を抽出しました。 |
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LPG地下貯蔵、高レベル放射性廃棄物処分等の類似した事例からリスク評価、サイト選定要件等の要管理項目を抽出しました。 |
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今後の課題
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リスク評価の定量化に向けた環境影響や構造地質のデータを充実させます。 |
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国内外の先行・類似事例調査による安全ガイドラインを作成します。 |
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