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想定モデル地点調査
目的
国内における地中貯留の可能性を、分離回収から輸送、圧入、モニタリングなど一連のシステムについて実規模を想定した具体的検討から示します。このために、以下の項目を実施しました。
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貯留層データがある程度揃っている4地点をモデル地として実規模のエンジニアリング・スタディを実施 |
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大規模排出地域を対象にシステム・イメージ作成とコスト評価を実施 |
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システム・イメージ作成とコスト評価
モデル地点として貯留層のデータがある程度揃っている4地点で、システムイメージ作成とコスト評価を行いました。この結果として、国内での地中貯留は既存技術の展開で対応可能であること、技術的課題は実証的に解決していく段階であることが明らかになりました。主要な技術的課題としては、分離回収ではトータルシステムコストの削減、輸送では適用基準の構築と安全対策、圧入では地層情報拡充および坑井デザインの具体化ということがわかりました。
分離・回収モデル調査
分離回収については、各モデル地点における火力発電所、製鉄所、製油所、セメント工場、製紙工場について、その排出ポテンシャルとプロセスを評価し、コスト評価を行ないました。
業種別のCO2排出量
CO2発生源 |
発電所 |
製鉄所 |
製油所 |
セメント
工場 |
製紙工場 |
業種別
排出量
(百万t/y) |
100
(電事連) |
100
(鉄鋼連盟) |
34
(石油連盟) |
100
(セメント協会) |
100
(製紙連合会) |
対象ガス
種類 |
燃焼ガス |
還元ガス
(燃焼前) |
水素製造ガス
(CO2除去前) |
燃焼ガス |
燃焼ガス |
輸送モデル調査
我が国においてはパイプラインによるCO2の大規模輸送は実績が無いため、技術と適用法令の両面から最適化と安全対策を検討し、実適用への課題を整理しました。
貯留モデル調査
4地点のモデルを対象に、具体的な地質データに基づき、年間100万トン規模で圧入することを想定した坑井デザインやモニタリング等の検討を行ないました。海域の3地点は比較的沿岸から圧入ポイントが近いため、コストを低減させる陸地から海底下の貯留層に斜め方向に掘削する大偏距掘削(ERD)を2〜4本採用するとしました。一方、陸域の1地点については、長さ1,200mの水平井1本で圧入することがコスト面で有利であることが明らかになりました。
4地区の坑井の主仕様
モデル地点 |
A地点 |
B地点 |
C地点 |
D地点 |
掘削手法 |
ERD |
ERD |
ERD |
水平井 |
100万t-CO2圧入時の坑井本数(本) |
4 |
4 |
2 |
1 |
圧入井の主仕様 |
垂直深度(m) |
1,200 |
1,200 |
2,400 |
1,200 - 1,300 |
水平偏距/水平長(m) |
3,300 |
1,550 - 4,000 |
5,500、7,200 |
1,200 |
また、技術課題の解決に向けた第1歩として、海域の貯留層を例にとり、年間100万トン規模で20年間貯留する場合を想定した最適圧入計画を策定し、圧入可能量評価手法の拡充を進めました。
成果
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国内での地中貯留は既存技術の展開で対応可能であること、技術的課題は実証的に解決していく段階であることが明らかになりました。 |
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5つの業種(火力発電所、製鉄所、製油所、セメント工場、製紙工場)について、その排出ポテンシャル、プロセスフローおよびコストの評価を行いました。 |
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パイプライン技術と適用法令の両面から最適化と安全対策を検討し、実適用への課題を整理しました。 |
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具体的な地点でCO2を圧入することを想定て、坑井デザインやモニタリング等の検討を行ない、最適圧入計画の策定と圧入可能量評価手法の拡充を進めました。 |
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今後の課題
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実適用に向けた技術課題を実務的・実証的に解決する地中貯留検証計画を策定します。 |
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地中貯留技術の理解促進に繋がる技術資料を作成します。 |
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